概略
中医学の最も根本をなす自然哲学理論の一つ。自然界と人体のあらゆる事物を「陰」と「陽」という相対する二つの性質で捉え、その均衡・消長・転化によって生命現象を説明する。治療や養生の判断基準としても用いられる。
『黄帝内経』からの引用
陰陽者,天地之道也,萬物之綱紀,変化之父母,生殺之本始,神明之府也。
(『素問・陰陽応象大論』)
「陰陽とは、天地の根本の法則であり、万物を統べる綱紀であり、変化の源であり、生と死の始まりであり、神明の宿るところである。」
法於陰陽,和於術數,食飲有節,起居有常,不妄作勞,故能形與神俱,而盡終其天年。
(『素問・上古天真論』)
「陰陽の法則に従い、養生の術を適切に用い、食事に節度を持ち、起居に規則があり、むやみに心身を労することがなければ、形と神がともに健やかなまま、天寿を全うすることができる。」
基礎解説
陰陽論は単なる二分法ではありません。陰と陽は常に互いを含み、支え合い、消長しながら均衡を保つという動的な関係にあります。中医学ではこの考え方を、診断・治療・養生のあらゆる場面に応用します。
たとえば体質として「陰虚」「陽虚」とは、身体の陰陽バランスのどちらに偏りがある状態です。養生においても、季節の陰陽(夏=陽・冬=陰)に合わせて食事や生活を整えることが、陰陽論に基づいた実践といえます。
「陰陽のバランスが保たれている状態」を中庸といい一般に健康と等しい状態です。一点を元に戻すことや何かを取り除くことではなく、バランスを整えることを目指すのが中医学の根本的な治療方針です。
関連用語

