概略
中医学の基礎となる理論の一つである陰陽論において、「静・冷・内・下・うるおい・物質」等を象徴する概念。自然界では夜・月・水・冬などが陰に属し、人体では血・津液・精など、身体を養いうるおす物質的な側面と関係する。陽と対になり互いに支え合うことで身体の均衡が保たれると考える。
『黄帝内経』からの引用
陰者,藏精而起亟也。
(『素問・生気通天論』)
「陰は精を蔵し、素早く陽の働きを支える。」
陰平陽秘,精神乃治。
(『素問・生気通天論』)
「陰が平らかに保たれ、陽がしっかりと固まることで、精神は安定する。」
基礎解説
中医学では、陰は単に「冷たいもの」を指すのではなく、身体を内側から潤し、養い、休ませる働き全体を表す概念です。血や津液のような体内の液体成分、夜の睡眠や休息の時間、身体の内側・下半身といった下方への方向性も、すべて陰の性質に属します。
陰と陽はどちらか一方だけでは成り立ちません。陰が十分にあることで陽の活動が支えられ、陽がしっかり動くことで陰も生み出されます。陰が不足した状態(陰虚)では、冷やす力、潤す力が弱まり、相対的に熱が生じやすくなります。
関連用語
→ 陽 → 陰陽論 → 陰虚 → 津液 → 血


