夏至の養生(2026年6月21日)

季節の養生

6月21日から二十四節気の「夏至-げし-」です。夏至の次は小暑。夏が来るんだなという気持ちになりますね。

夏至は一年で最も昼の時間が長くなる日であり、自然界の陽気は頂点を迎えますが、中医学的な視点でみると、単純に「陽が盛んな日」だけではなく、「陰がうまれる日」でもあります

陽が極まると、陰が生まれる

中医学最古の古典『黄帝内経』では陰陽の変化について、

陽極陰生,陰極陽生

という教えがあります。
陽が極まる時、陰が生まれる。陰が極まる時、陽が生まれる。
ということなのですが、それを示した図がお馴染みの陰陽図です。

白い勾玉エリア(陽)のふくらみが最大になるとき、黒い勾玉エリア(陰)のしっぽの先がはじまっています。このポイントが夏至。

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夏至はまさに陰陽転化する瞬間です。
この日から徐々に陽気がさがっていき、陰気が増していきます。

自然界の大気では陽気が満ちている状態ですが、その一方で体内に生まれたばかりの陰を守る必要があります。ここで陰を損傷したりうまく育てられないと、陰の季節である冬の不調も多くなります。

真夏の不調は夏至の頃から、もっと言うと、冬至からはじまっている。その反対も然り。その為、中医学では季節ごとの養生や季節の運行そのものを重視しています。

夏至は五行で火、「心」を労わる季節


中医学の基礎となる理論「五行学説」では、夏は火に属します。同じく火に属する臓腑は「心」「小腸」です。また「汗」も同じです。

夏になると暑いので当然汗をかきますが、たくさん汗をかいているのに熱が下がらない「熱中症」は、「気」と「陰液」を同時に大量に消耗していて、本来備わっている解熱の力がはたらかなくなった状態です。

他によく夏にでてくる悩み、
「眠りが浅くなる。」「食欲が落ちる。」

こうした変化も、夏の陽気による陰の消耗の始まりと考えることができます。
睡眠には心の陰が、胃腸の働きには脾胃の陰が関係しますが、食欲には胃腸機能の不調だけでなく精神的な面も関係するため、心の陰もよく観察する必要があります。

「陰虚」とは

「陰」は、身体を潤し、静め、回復を支える土台のようなものです。

たとえば、

・睡眠で身体を修復する力
・目、喉、皮膚、髪、粘膜の潤い
・熱を適度に鎮める働き
・精神を落ち着かせて「今ここ」にもどる力

などに関係しています。

陰が慢性的に不足している「陰虚」体質になると
「水をのんでも癒えない乾き」「のぼせ」「精神的なピリピリ」「不眠」「めまい・耳鳴り」「皮膚の炎症」などが出やすくなります。

陰に深いかかわりのある臓腑「腎」は、実は陰陽の陰一方ではなく、腎陰・腎陽の両方を蔵する臓器です。「五臓の陰陽の根本」とも呼ばれ、また生命エネルギーである「精」を蔵する場所でもあります。

腎者,主水,受五臓六腑之精而藏之。
「腎は水を主り、五臓六腑の精を受けてこれを蔵す。」
(『素問・上古天真論』)

腎の衰えはすなわち、生命の衰えともなります。

そして、夏の臓器「心」は「陽中の陽」とも表されており、心と腎が陰陽バランスの要となる二つの臓器です。腎は心の陽気があがりすぎるのを抑える働きがあり、心の陽気は下支えとなる腎陽があるからこそ正常に働きます。

「陰虚」が進行すると(もしくは心火が亢進すると)、陰陽のバランスが崩れてバラバラになってしまう「心腎不交」の病態へ進展する可能性があります。

本来は陰の時間でり、回復する時間である夜になっても、心の陽気がのぼりっぱなしになって
「うまく眠れない」「途中覚醒が頻発する」「疲れているのに寝付けない」ということにつながるのです。

「収陰」心の熱を鎮める陰を収める

電気がなかった2000年前と現代の生活は大違いで、現代は普通に生活しているだけで「陽」に傾きやすく、「陰」を消耗しやすくなっています。
日が暮れても電気に囲まれて明るく、お仕事や遊びも普通にできますし、スマホを眠る直前まで見ていることも陰をより消耗します。

気功やカンフー(功夫)の教えには「吸為陰、呼為陽」
吸う空気をお腹の底にためて陰を養うというものがあります。

呼吸を通して心を落ち着け、身体の深いところにエネルギーが収まっていく感覚を得る。
これが「収陰」につながります。

「逆腹式呼吸」として一般的な健康情報でも同じような方法がでてきています。

①吸う時にお腹が凹む
②5秒程度、息をとめて気をとどめる‐下腹部に気を感じる
③ゆっくり吐き、お腹が膨らむ

しばらく続けて
‐のぼせ感がおさまる
‐自然な汗が出て体温が下がる
‐身体が楽になる
‐腸が動く
‐なんだか落ち着く

という感覚があると理想的。
実際は、慣れるまでは分からないかもしれません。

深呼吸をするだけでも心が落ち着きます。
特に、PC作業など集中していると無意識に呼吸が止まっていることが多いので、時々でも「呼吸」「下におろす」と意識することは意味があると思います。

そしてもちろん、睡眠

睡眠は本当は陰の時間帯に合わせてとりたいので、21時には寝ているべし、というのが昔からの教えです。せめて、23時には深い眠りになっているのが良いです。

23時~3時までは、もっとも陰が深まる時間帯であり、血液を貯蔵する肝の時間帯でもあります。目と肝は繋がっているので、眼精疲労のためにも良いですし、自律神経の調節や免疫力の向上、そして決断力の向上にもつながるのが、「肝」を労わることです。

血液も陰の属性のものです。「精」や「陰」と違って、「血」は目に見えるし、中医学に詳しくない方でもその重要性が認識しやすい物質ですよね。

しっかりと肝臓でろ過して、新しく綺麗な血液をつくることで、翌日のパフォーマンスも向上しますよ!

実際のお天気としては、湿邪対策も必要です


夏至が過ぎれば夏という気持ちにはなりますが、実際には日本ではまだ梅雨の真っ最中ですね。

中医学では湿気による病邪を「湿邪」と呼びます。
湿邪の特徴は、

  • 重い
  • 粘る
  • 停滞する

そのため、

  • 頭がぼんやりする、頭痛
  • むくむ
  • 食欲不振
  • やる気が出ない

といった不調が起こりやすくなります。

夏至におすすめの食材と薬膳+スイカは慎重にね

五行で「火」なので「苦味」と「赤いもの」を食べましょう!ということに、教科書的にはなりますが、このくらいの時期はまだ加減したり、加減しておく方がいいかなと、個人的には思っています。

特に胃腸が弱い人は、ベースに冷えがあるので、
冷やす作用が強いトマトやスイカは、少量にしたり熱を加えたり、徐々にならしていきましょう。

🍈冬瓜

五味は「甘・淡」「涼」
帰経は「肺」「大腸」「膀胱」

清熱しながら余分な水分をさばきます。頭に熱感があり、イライラもして、むくみが気になる方には特におすすめです。

🐙タコ

五味は「甘」「平」
帰経は「脾」「肝」

気血を補い、滋養強壮、疲労回復効果があります。栄養学ですとタウリンが豊富ですね。夏の消耗対策には酢の物がとてもいいですね。

半夏生の小話:
夏至から11日後を七十二候「半夏生」といって、この時期タコを食べる習慣が関西ではあります。半夏生というのは生薬の名前です。
半夏厚朴湯や半夏白朮天麻湯のような、水の巡りが失調していて精神的も落ちているようなときによく使われます。

🫘小豆

五味は「甘」「酸」・「平~微寒」
帰経は「心」「小腸」「脾」

利水作用を持つ食材としては有名でしょうか。
帰経も五味も、この時期の養生にすべてピッタリ。

水無月、水ようかん、季節のお菓子としても風物詩ですね。昔の人はこういった生活の習慣と養生を自然と融合していて、すごいです。

夏至から始めたいことのまとめ


夏至は一年で最も陽気が盛んな日ですが、中医学や養生の視点ではそれだけではありませんでした。

「ここから陰を守り始める日」
「暑さに負けない身体づくりは、今から」
という気持ちで、休養は大事にしてください。

陰を養うには一にも二にも、
「しっかり眠ること」「心の安静」「深い呼吸」


それから、まだある湿気やうっかりエアコン冷えの予防も引き続き必要です。

「冷気にあたりすぎない工夫」「湿気をためない」
「衣服が濡れたら着替える」

未病先防でうまく季節にのり、楽しみましょうね。

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